2010-09-17 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 八本の吾が包丁はこののちのどのあたりにて捨てて去るべき 田中曄子 おもいでとよく似て蚊取り線香は消えるまぎわにひときわ香る 砺波湊 とりどりの花咲く庭に老妻は正座をなして草を引きゐる 五十嵐敏夫 あの方も逝かれたなどと思いつつ牛乳の膜つまんで捨てる 岡頌子 東京にスカイツリーの育つ夏 ゴーヤの蔓も日日に伸びゆく 洲淵智子