2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

夜半覚めて思うは何時も同じ事闇の向うの更なる闇を 野地千鶴 無尽数(むじんず)の樹木を昇る水の嵩天に見るとき瀧のごとけむ 武下奈々子 わたくしに背骨のあるを思い出すひとと真向かう緊張を得て 鶴田伊津 雪月花の華(はな)にまひるを酔ひながらすべて…

海草のやうになりたる雨合羽つとめ終へたる手足より剥ぐ 平居久仁子 雨後の道かほもこころも上向きて四月の空を桜とあゆむ 洞口千恵 つぶやいてみれば魔除けの経のやう晴耕雨読、せいかううどく 大越泉 いつか未来、老いたあなたが流すだろう涙ひと粒この指…

何もかも人に任せてひたすらに眠り続けるいのちは強し 立花鏡子 「ウザい」などと言はれかなしき母親は子を誉められて少女のごとし 野村裕心 運動のため階段で五階まで。精神科患者の健脚を見よ 生野檀 身長百六十二センチ レーニンもスターリンもメドベージ…

どのやうににぎりてみてもはみだせる生命線の上の生き様 脇山千代子 倦怠はたゆたふやうに困憊はみやくうつやうに まなぶたになり 弘井文子 星見駅・星置駅と通過して星降るやうな駅に降りたり 田中愛 (2008.8.25.記)

アルキメデスの鼻唄 伊波虎英 蝙蝠がねむる真昼の洞窟を秘めもつわれら春に昂る 緋のバイク疾(と)く駆りたきをぬねぬねと家々めぐり郵便夫老ゆ ゆび先に魚信(ぎよしん)のはつか伝はれど『41歳寿命説』獲(え)ざり ジェラシーの濫觴(らんしやう)ならむ…