2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

かにかくに 伊波虎英 くぐもれる遠雷(とほいかづち)に急かされてポケットティッシュを配る人見ゆ 死のきはの蘆花と蘇峰の長月をおもふ民団と総連の和解に 「セイロガン糖衣A」と「正露丸」の差異かもしれぬ詰るところは かにかくに蟹、覚醒剤をはこび入れ…

しろがねの輪が光りゐし無名指を「アダムの肋」と呼びし人妻 【扇マーク】(コーチとやりとり) といふメール牽牛花が蔓伸ばすごと来る

テポドンとふ土地の名哀しファン・シネとふ韓国女優のなまへは哀し (☆7/26付「さるさる日記」参照)

天上天下唯我独創新庄剛志(SHINJO)のパフォーマンスに球場は沸く (☆7/25付「さるさる日記」参照)

◆受賞作 「分身」滝田恵水 始業ベル鳴りて生まれる分身はいつも尖った視線を放つ 金属に眠る神様起こすためワイヤーブラシ新しくする 居場所なきほこりは空に導かれひかりの神が歩きはじめる 長靴をはいて走ればとりあえずガンバッテイル記号となりぬ 形容詞…

お互いに食むために生れし生命に満ちて春ある国は美し 武田正史 百円のパンツとシャツを買ひて着る気楽な体ふはふは歩く 菊地威郎 弁当のおかずのごとく間仕切られ焼肉店に集ひしわれら 泉山和美 うつむきて浜辺を歩む若者は立ち止りざまに海背負ひけり 森脇…

風の温度上がりてたたむショールにはヘロンの公式隠れていたり 滝田恵水 運不運ひとにあるとも水仙の花の向こうの空は果てなし 阿部美佳 筆をもつ指先さびし二月尽くり返し書く春の一字を 小林登美子 その笑顔は仮面に似ると思いつつ鏡のような友を離れる 東…

鳥あまた死にける春の街中にここより始まる犯人探し 大場恭子 イレウスとふひびきは異国の神の名のごとし青年医師の言ふとき 下村由美子 五年前に憎みし女の唇のかたちにも似て鬱金香(チューリップ)咲く 有沢螢 遺失物と称(よ)ばれゐたればこんなにもし…

ブルカ脱ぎしをとめのごとくかがやけり根雪きえたる越の山々 金沢早苗 ひとり居が二人居となりシーア派とスンニ派ならねただごとならず 木崎洋子 いく人もひと入るる花のかまくらに心はなちて花の気もらふ 寺島弘子 うるみゐる水晶盤をあふぎつつ桜のしたは…

「君が代」の低く漏れくる学校ゆ母川回帰の鮭の屍臭す 糠星がふたりの顔を仄照らしイエスとユダの密談つづく わが歌に言霊ありや文字霊のありや泉鏡花(きやうくわ)の総ルビが沁む 曾祖父が神風特攻隊員でありし女中(メイド)もカフェにをるらむ 塞舌耳(…