2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました。 なんの喩であらう迷惑メール(SPAM)の件名のオオアリクイのながき舌伸ぶ 局地的豪雨にけぶる葉月(はちぐわつ)に都市伝説は生ひ茂りゆく 天飛ぶや高校球児が軽々と金属バットをふり夏は去(い)ぬ 負…

返照の首都のビル群こだまする「チッチキチー」に崩れてしまへ ブラマヨは の略だぜと父にうそぶくニートの息子 伊波虎英

◆「天文台まで」守谷茂泰 木犀の香が柱へとしみてゆく生家に小石のごとく眠りぬ 天文台へ行くバスのなか誰も居ぬ座席が鰯雲となりゆく 拾いたる落葉に地図の浮かび出てこの秋も乗り遅れたままだ 銀杏の葉落ち尽くしたる青空は鳴り出す前の楽器のごとし 電飾…

わたくしのははであるから困るのよ爪などのびし手をみたときは 朝生風子 この家に病む人在りといふやうに石塀の上猫すれちがふ 野上佳図子 じょうろへと光を集めひとすじの虹を発する朝の水やり 里川憐菜 弾みつつゴミ収集車過ぎゆけりのみ込みきれぬ段ボー…

ほくろまで流されさうなる汗流しメロンその他の受粉してきぬ 林とく子 愛想よき笑みを残して町内の一万歩を行く男が通る 原田美代子 手漉き紙ふうはり飛んだやうな空夕月が白いまま浮きてをり 栗林菊枝 目のあらぬ豆腐のサイコロぱらぱらと鍋へ入れつつ三十…

水を打ちまた水打ちて聴きており夏日に灼けし庭石のこえ 上原元 選りて買ひししのぶの風鈴わが軒につるせば我が家の音に鳴りたり 青木和子 悪声と気づいてしまう 原爆を語る小百合の白きブラウス 森澤真理 出てこない飴を取り出すために振るドロップ缶の穴底…

夜の水に昆布をひたし朝までの過ぎゆく時間水屋にとどむ 真木かずさ つくづくと十指きたなくパラフィン紙よそほひてゐる本を取りだす 多田零 ただ水を出す器にとなり果てむししむら、夏の膝下にありて 生沼義朗 自転車のチューブに密閉されをりて空気くるし…