2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

遮断機の棒おりてきて揺れやまぬさま見るとなくひとり見てゐき 公園に(存在といふ)置き去りの(われの不在か)一輪車あり 白紙(しらかみ)に墨もて「一」とゑがきたる地平のむかうで逢はな 吾妹子(わぎもこ) *期間2005.11.4〜11.30 *参…

をちこちに座敷童子らあそびゐる愛子駅前あやし幼稚園 花鳥佰 土塊ゆつくられたれば土塊をみあげて良夜ひとりさやけし 松野欣幸 マンションの窓の灯りのとりどりに違いがありぬありて人住む 野中祥子 とりたててなにゆうこともなききょうをははのねむればお…

広辞苑に「快快的(カイカイデ)」「慢慢的(マンマンデ)」の項ありて太郎の肺にアスベストふりつむ 富士山と北朝鮮美女軍団はどこか似てゐて少しかなしい 候補者のウソや本音を覆ひたるのり弁の「のり」ふやけて黒し 佐野朋子をらぬ九月の教室に留守神(る…

床の上にこぼれていたるクリップにとめられて小さき今朝のひかりよ 早川志織 思い出はきらめくはずさあのときも僕らに降っていたアスベスト 福田和子は逃げきった整形と脳梗塞で世界の外へ 八木博信 首都直下巨大地震被害想定の死者一万一千人まだ生きてゐる…

ラ・フランスの傷みほどなる哀しみは人を疑ふ心よりくる 金沢早苗 明朝の青磁の壺を立たしめて秋のまひるの館(くわん)のしづけさ 春畑茜 川岸に打ち捨てられた木の舟に色彩の神は宿りていたり 守谷茂泰 山里に籠れど山姥にもなれず夜は現し世の夢ばかり見…

濡れ羽色ひごとに褪せて吊されしカラス殉教の使徒のごとくに 山本じゅんこ 賜はりしインドの塩のうす紅を茹であがりたる枝豆にふる 助川とし子 「金曜はフライデー」と弁当屋が言うと新たな意味が拓けた 生野檀 海水をただの一滴もこぼさずに地球はやさしく…

高層ビルの狭間にも秋はやってきていちまいの空垂直に立つ 山本照子 速達は貨車にて夜を走りゐむ踏切次々と閉ざしながら 松野欣幸 駿河なる須々木が浜の白波に夏の名残りの泡立ちて消ゆ 田村よしてる テレビより少し遅れて鎮魂のサイレンの鳴る街空に鳴る 辻…

球うける極秘は風の柳かな 子規 「キャッチャーは野球のかなめ」へうへうとノボさんが打つ大ホームラン 恋知らぬ猫のふり也球あそび 子規 球あそびする虎を見てつれづれの吾に抱擁(アンブラッセ)の秋は来ぬなり 遠くへもう飛ばないボール(雷雲がゴゴゴジ…

<ログ177>◆088:食 荻原裕幸 2005年10月31日 (月) 14時37分 不足なのか大食ひなのかわからぬが食べ残しなき貘がゐて冬 <ログ180>◆033:魚 島田牙城 2005年10月31日 (月) 20時55分 魚扁の字の羅列あり空を飛ぶ鯨の絵あり老人ホーム <ログ182>◆10…

<ログ171>◆042:官僚 佐藤弓生 2005年10月31日 (月) 00時24分 陽物のように右手を握りあい若き官僚と別れきたりぬ <ログ172>◆013:焦 久野はすみ 2005年10月31日 (月) 02時24分 焦燥というタイトルの壁画から馬がつぎつぎ駆け出す朝(あした) <ロ…

<ログ163>◆025:泳 津和 歌子 2005年10月29日 (土) 18時40分 泳げないふりをしているおんななど放置しておけそのうち浮かぶ ◆075:続 足立尚計 2005年10月29日 (土) 19時37分 炎天下復旧作業続く日をただ眺めいる猫けり飛ばす <ログ165>◆046:泥 鈴木…