2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

釘を踏んでゆるゆる薄くなってゆくタイヤのごとし何もせぬ日は 今井千草 耳ぞこに絹糸一本はりおきて降りつむ夜半の雪の音きく 寺島弘子 沈黙の臓器のごとき地下鉄のホームに夜が青ざめてゐる 倉益敬 鬱の字の木と木の間(あひ)に缶は立つ冬のをはりの雨溜…

東京にオリンピックを欲る者は行けや昇れやエスカレーターの右側 谷村はるか おおいなる団子虫なるか団塊と名づけし奴が気に喰わぬなり 青柳泉 一杯の珈琲のためベートーヴェンの数へし豆の六十三粒 竹浦道子 陽だまりを掌に掬うごと住み継げる集落のあり一…

ももいろとピンクの違い 桃谷と桜ノ宮の違いを思う 津和歌子 東京は出せそうな勇気出せなくてやっぱり結局積らない雪 冨田真朱 名も知らぬ観葉植物かざっても変化を求める会社にはなれず 森直幹 報道は襷の重さを唱へつつふらつくランナーをアップに映す 郄…

開襟の体操服にかそけくもむなちゆれつつ少女にありき 弘井文子 栗木京子の目鼻誰かに似てゐたりすなはち鳥毛立女が浮かぶ 野上佳図子 突然の上司の死により落着となりたる一つにセクハラもあり 小野さよ子 わが髪にちひさき木枯らし宿りゐて髪梳くたびにせ…

病猫鬼なる物の怪に贈る歌 伊波虎英 冬の夜に熱き蹤血(はかり)をひきずりて病猫鬼(びやうべうき)来よ、われと眠らむ ただ寒きばかりに卑屈なる心(シネ、シネ、…「死ぬな」…)温(ぬく)めておくれ ヴェランダの朝に震へる二槽式洗濯機かなし猫とおもへば

書きなぐり書きなぐりても詩は白き偽装再生紙を汚すのみ マスクして歩けばメガネ直ぐくもりメガネ外せばぼやけたる街 境内でひなたぼこする老人の指におみくじ結はへてありき 忌門(いみもん)を開けたるごとき音させて咽喉を鳴らせりしばしうがひに 崔洪万…