2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

幸も不幸もよみかた次第あしひきの鞍馬は天狗鞍馬は体操 小池光 篤姫の宮崎あおいの横顔はさつきのニュースのライス長官 椎木英輔 蛇口に口あてて飲みたし戦いに敗れただけのボクサーになり 八木博信 放埓のこころほのかにきざしたる夕、手離しで自転車に乗…

袖無しのワンピースから伸びる腕むじやきな人が君に近づく 大越泉 一輛目前部に見をればわが町の駅ははかなく灯りておりぬ 伊藤冨美代 異人屋敷の坂道のぼるパラソルのひとつ発火す夏の夕暮れ 有沢螢 おほひなるおほひなる手が抱くとき熟れし西瓜の重さか地…

繁栄の時過ぎし国と思ひつつ電気コードのねぢれをもどす 森脇せい子 この村の大切な木の下に座す 無慾に此処に在るをよろこぶ 田村よしてる 殺したい一人の男の幻想も抱けぬ馬鹿の“誰でも良かつた” 黒田英雄 勝負師の真髄見たりその一手に羽生善治の指かくふ…

不安に名前をつけむ不安に名前のあらば不安は消ゆる 弘井文子 持ち物のすべてに名前が書かれてた時代を通ってきたわたしたち 砺波湊 密林に羊歯が伸びゆく音を立て君はボトルの水を飲み干す 関口博美 つまみあげ朝の空気にさらすとき角砂糖から溢れるひかり …

電波かつソーラーにして息苦しさうに張りつく壁掛時計 葦原の瑞穂の国は随神(かむながら)おやがこあやめこがおやあやむ 言霊の助くる国にきららかにダガーナイフの光は零(こぼ)る 朝まだき幽(かそけ)きこゑでかなかなは邪言(よこしまごと)を浄めむと…