2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

耳かきが二本セットで売られゐる百円ショップはさみしいところ 伊波虎英 *題「自由題」(2011.2.24〜4.2) *歌会詠草一覧(44首)は、こちら。↓ http://tankajin.seesaa.net/article/192227689.html

三匹目の兎に乗ればこの先の十二年間はおそらく速い 生沼義朗 昼の月見つけたる子のよろこびに目線合わせるためにしやがみぬ 鶴田伊津 青空を南南西より引き寄せる握りこぶしのやうな雪山 倉益敬 かなしむやうにふる雨の秋 東京のひとはスカイツリーの話ばか…

ヒトは死ぬまで人間と限らぬが犬は死ぬまで犬をつづける 松木秀 リビングに西日があふれ座蒲団の一つに大きな母性が宿る 滝田恵水 親指に小さき沼をもつわれか日ごと夜ごとに生れくる水泡 洞口千恵 由布岳に雪つもるとふ山鳩のやうな電話の弟のこゑ 稲吉佳子…

パチンコ屋に小池光はあらはれてわが連荘(れんちやん)をしばし見てをり 野村裕心 捨て続け来し柵(しがらみ)の亡骸か点滴台をがらがらと牽く 黒田英雄 夫は知りわれはしらざるひとよりのハムを夕餉に分厚くも切る 吉岡馨 いづこより起これる風か背をかす…

鳥影を呑みて山影さらに濃し暮れの紅葉の熾火鎮まり 吉原俊幸 マフラーに顔をうずめて眠り込む自分が誰か忘れる程に 暎泉 三回忌に亡父の日記を燃やしおり終に一度も開くことなく 平田栄一 テレビにて圧力鍋の効用をカストロ自ら説明したり 後藤祐子 換気扇…

DIES IRAE (3) 伊波虎英 現し世は永久(とは)に未来のなき死者の置き忘れたるビニールの傘 賀状といふ矩形の月に野兎を閉ぢ込めながら新年を待つ 『ノルウェイの森』赤/緑(ふたいろ)の二十余年書棚にあるが哀しくなりぬ ひやくはちの鐘鳴る寺…