2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

マンションの鉄筋何本間引かれてゐたるか知らず次郎よ眠れ 「姉歯(あねは)」といふ姓(かばね)に軒の妹のしたの乳歯がさわぎ始めき アメリカ産牛肉まづは天皇が食ふべし日本の象徴なれば 公園に(存在といふ)置き去りの(われの不在か)一輪車あり 電気…

背番号31を今季から背負ふ優男(やさを)ぞ林威助(リン・ウェイツゥ)は (☆2/26付「さるさる日記」参照)

<第347回公募短歌館(「短歌」2006年3月号)> ☆今野寿美選 【特選】 ローウェン・チャド・ジョージ・ハヘオが旧名の大つごもりの曙太郎(あけぼの)哀し ☆小池光選 【佳作】 タリウムを求めし少女持たざりや 伊波虎英

凄惨な事件つづけば「NHKのど自慢」の鐘みだれ打たるる (☆2/19付「さるさる日記」参照)

かがまりてストーンの先の氷上をみつむる異国の女(をみな)うつくし (カーリング) (☆2/17付「さるさる日記」参照)

のら猫を抱きあぐるごと雨の夜に独逸のネットラジオを聴けり (☆2/13付「さるさる日記」参照)

「アイネクライネナハトムジーク」と唱ふれば窓辺にうたの女神ほほゑむ (☆2/12付「さるさる日記」参照)

五輪選手の「ら」抜き言葉を正しつつ画面の下を流るる白字 (☆2/10付「さるさる日記」参照)

ふんはりと明石名物玉子焼(たまごやき)きいろく焼ける銅板の輝り (☆2/9付「さるさる日記」参照)

遍(あまね)はる「配達地域指定冊子小包」で届く召集令状 (☆2/6付「さるさる日記」参照)

夢路にて辿る家路も消えていて姫路駅より西へは行けぬ 木戸真一郎 逝きてなほ夫はわたしの守り神大きな長靴玄関に置く 志田節子 ぐずり泣く子にその母は印籠をさし出すごとく乳房(ちち)を見せたり 高木律子 アルバムに仏頂面の残りゐて今なつかしむ子の反…

マッチ箱からまつち一本とりだして燐寸を灯すまでに音あり みの虫 <ニート>とは無気力の意味らしその人の両手を身障のわれは買いたし 阿部美佳 剥製の小熊を背負いて熊の胆(い)を売り来し翁いまに懐かし 竹村幸雄 駒の湯の煙突のあつたあたりから雪は降…

猿蓑の文庫を開き地下鉄の光に溺るるごとくに眠る 守谷茂泰 iPODぶらさげながら本当は見えない過去をぶらさげている 廣西昌也 人間の都合で移転させられしポストまで行くわが哲学の道 宮本しゅん 前からも横からもメール打ちながら輪を縮めくる真中におり…

透き通るコード巻かれし街路樹を悼みつつゆく馬車道通り 金沢早苗 鈴掛の並木を都市の聖痕と思えば物語りめく暗夜 藤原龍一郎 玉子パンひとふくろ買ひ歳晩のちまた往き行く五十八歳 小池光 広告のネオンに見をりCRテレサテンとはかなしみの機種 多田零 た…