2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【番組100選】 われに似た少年のゐしヴァラナシに今われに似る青年はゐむ 伊波虎英 ◇4月25日(日) BS2 11:00〜16:30放送 ◇歌人選者/永田和宏、島田修三、小島ゆかり、東直子 ◇ゲスト選者/高橋源一郎(作家)、アーサー・ビナード(詩人) ◇解説…

父われが三千の名を授けたる三千の名のさくら散りかふ 伊波虎英 *題「自由題」(2010.3.23〜5.1) *歌会詠草一覧(36首)は、こちら。↓ http://tankajin.seesaa.net/article/147929972.html

アオバズク己(し)が羽のうちにひそめたるあしより洩れて三本の爪 酒井佑子 見も知らぬ子どもが俺に告げてゆくたしかに燃ゆる一番星を 八木博信 しばらくは俺を見つめて去る猫に老いてさみしい金玉がある 八木博信 水なかに水の塊りひとつかみ沈めおくほど…

大き顔むだに広げる黄蜀葵よく似た女をひとり知ってる 大橋麻衣子 ひとりゆえ親しむこころジャンパーのナイロン生地の擦るる音にも 西川才象 祭壇の遺影はデジタルフォトにしてつぎつぎ変はる大叔母の顔 洞口千恵 ゴキブリを叩いて潰す母親と掃除機で吸う妻…

まつしろなシーツを冬の空に干す風向きはたぶんわたしが変へる 三島麻亜子 あけがたの夢の断片まとひたるわが身に苺ひと粒の寒 関口博美 浴室はほのぼの温し老い母のまろき背中に湯をかけるとき 小出千歳 週ごとに献花のかはる交差点わたり終ふるまで子に付…

冷たさが首に沈んだそのあとに雪解けのように春めく真珠 黒崎聡美 西日差す書棚にありて触れられぬ歌集のごとき姉の独り身 太田賢士朗 陽を浴びてあたたまりたる毛糸玉その温もりを編みこんでいく 伊藤直子 叩かるるたびに大きくうべなひて笑顔絶やさぬペコ…

◆ 生きていくための短歌 伊波虎英 一月に、「31文字のエール〜詠み継がれる 震災の歌〜」とい うNHKの番組で、夜間定時制の神戸工業高校で学ぶさまざまな 境遇、年齢の生徒が短歌創作に取り組む姿を見た。指導している 国語科の南悟教諭が、『生きていく…

カラヴァッジオが描きたるごと一房のバナナにうかぶ斑点の黒(シュガースポット) さりげなく消臭剤の置かれたる開架式書架 雨の匂ひす 数へたことなけれど常にゐるといふホームレスのひと四十人は 当館では天使の羽をもぐやうな音で新聞めくるべからず ぎつ…