2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

◆短歌人賞受賞作なし ◆佳作賞(3篇) 「夏のをはり」杉山春代 部屋ごとに屑かごありてそのひとつ父の骨壷ほどの大きさ 咲きさかる百日紅の樹のわきに決して笑はぬ道祖神立つ 起きてまづ湯を沸かしをり百年もかうして朝を迎ふるごとく 律儀なら良いわけでな…

電源を切ればテレビは沈みたり斬首されたる敵将のごと 春畑茜 たたまれてあるを開けば息つきて傘は濡るるを喜ぶごとし 相川真佐子 ロバの耳、死んでも言えぬことありてあの食品のあれはアレです 林悠子 こゑ荒げ吾子を叱れば号泣は未開の大地を揺らすごとし…

人間の壊れ方にもいろいろとあるがわたしはひび割れている 松木秀 耳栓をすれば砂漠の風の音氷河の蒼き崩落の音 洞口千恵 子を膝に乗せてピアノを弾く母の塗り潰された顔が振り向く 大橋麻衣子 江戸末期の落語家にして朝寝坊夢楽とふ名は辞書にのこれり 下村…

私より若いであろう研修医日なたを歩く人の優しさ 生野檀 思ふ程思はれもせず秋の日は釣瓶落としに暮れ独りきり 山科町江 ゆうぐれの海に真水は運ばれて河口がひらくことの哀しみ 久保寛容 夏の陽はメールのように秋の陽は電話のように縁側に差す 菅原和江 …

老舗「虎屋」あなたを信じていますから黒地の暖簾わけて入りゆく 金二順 マフラーの房をゆたかに君の背は圏外のやや内側にあり 篠塚涼 500系のぞみに兆す離陸への意思伏せられて浜名湖を過ぐ 斎藤寛 マナーモードばかりの部屋に言霊は盈ちてしづかに秋雨の降…

◆「私のポスト」伊波虎英 尼崎、通称「アマ」に住んでいる。市外局番は、大阪 市と同じ06番だが兵庫県。あのJR福知山線の脱線事故 があった所だ。 関西圏外の人には、ダウンタウンの浜ちゃんみたいな ガラの悪いコテコテの関西人がいる、アスベストが舞う …

じふぐわつの部屋に平将門の梟首(けうしゆ)のごとく扇風機あり 真裸のヒーローふてくされて去り塀のへのもへじ仄白く見ゆ 路線図を見上ぐるわれを (はふその)> の文字はとらへてながく放(はふ)らず 長き夜に森本平「ハードラック」くりかへし読むわが…