2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ビールでも発泡酒でもなきサッポロの 雑酒 > の☆を愛しむ うとうととすればアコムのCMの悪夢となりてやがてアリコへ 「人は目に見えないものを見てしまふ」笑みつつ手品師トランプを繰る 伊波虎英

とりあへずひとつこなして日常をほどけば釣りあふわが弥次郎兵衛 水原茜 人の為すことは偽り 春たけて人さはにみつ蘭の花展 松野欣幸 家なかに四月一日ひとりゐて嘘ひとつつけぬ愚か者なり 村田耕司 古き地図にメリヤス工場と記されて河畔のホームセンター栄…

「お母さん」母に呼ばれて振り向けば照れくさそうに笑う母あり 立花鏡子 こんなふうに聞くと良かつた母の愚痴シンクの水滴吸ひゆく布巾 上杉諒子 現在(いま)のわれと同じ空気を吸いたまえ 古きクッキーの缶開く四月 蜂須賀裕子 殺されたニュースの数だけ減…

臑囓りをいまはニーチェといふらしい祖母のききかじり美(は)しきままとせり 高澤志帆 みづうみのおもてに散り敷く花を踏みイエス日本の春を訪ふ 西橋美保 「深き河借りてゆくよ」と少年はわが書棚より一冊を抜く 山中重子 朝(あした)からウルトラマンで…

さくら花堤にあふれ咲く午後の犬の歩みはわが影に添ふ 春畑茜 大地に向うスペルマなるや降り止まぬさくらさくらを孕ましてゆく 足立尚計 「散るさくら残るさくらも散るさくら」余命知らざる人らが集う 野地千鶴 花みちて仄かにくらききざはしを黙しつつ行く…

「春のノブ」洞口千恵 水縹(みはなだ)の紗のひろごれる天空の奥処に春のノブは光れり まぼろしの雪山(せつさん)童子去りゆきて春の吹雪はたちまちに止む 瀬戸内の能島(のしま)来島(くるしま)因島訪ひたし海彦にいざなはれ 「名告らさね」平居久仁子 …