2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

凄惨な事件つづけば「NHKのど自慢」の鐘みだれ打ちなり 何処(いづこ)かにイナバウアーの姿して天を仰げる磔刑像あらむ 主催国国歌ながれて米軍の基地もつ日韓三たび戦ふ (World Baseball Classic) 鼻(はな)つ柱(ぱし)強きイチローの面立ちに小泉…

「見上げても星はみえない」(上体を反らさなくてもイナバウアー) 伊波虎英

☆永田和宏・選(第一席)ああ異所性蒙古斑のごとき岩礁の独島(トクト)と呼ばれ竹島と呼ばる 伊波虎英

春の陽を背にのせきたる白き猫われのかたへに濃き影をおく 森脇せい子 夕暮れのわたしはどんなに畳みても元に戻らぬ朝刊のよう 高木律子 愛されしヨハネを思えば動脈は歇(や)むなくめぐる紫色に 塩野朱夏 「バス」を「馬車」と聞き違へたる電話口 朋の遠方…

双眼鏡に青きハヤブサ入りきて喜ぶ空はあたらしきかな 久保寛容 降る雪の音は聞えず聞えねばひとりの音に林檎嚙みをり 中島敦子 屋根の上(へ)に象が何頭いるだろう降り積りたる雪の重さよ 中川厚子 スノーボードの裏に描かれしサイケ模様色の楽しも宙に浮…

君に書く手紙の余白 水鳥の帰る空へと繋がっており 守谷茂泰 死にし王の王冠のごと冬の木の高き処に巣は残りをり 西橋美保 広重描く雨の庄野を駕籠急ぐしぶく雨音確かに聞こゆ 井上時夫 みづかさの増えゆく川にほそき橋むかうへの道しろく示せり 花笠海月 遮…

危うさのシンボルとして夕暮れのアルタ・ビジョンは点滅したり 藤原龍一郎 水紋の生(あ)れては消ゆる夕ごころ春いち日を臥すにも倦みて 春畑茜 ミシシッピーアカミミガメはミドリガメ 泣くわたくしにテレビは言ひぬ 多田零 くもり硝子拭えど明日は見えませ…