2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

昨夜(きぞ)からの地雨(ぢあめ)やうやく小弛(をだゆ)めば耳の底ひに都市は華やぐ 伊波虎英 *題「自由題」(2011.6.25〜7.25) *歌会詠草一覧(29首)は、こちら。↓ http://tankajin.seesaa.net/article/215695462.html

未来とは明るき日々と思いしにその名かなしき鉄腕アトム 藤原龍一郎 回文の凄まじさよ子らが言うホアンインアホホアンインアホ 足立尚計 「福島の人は来るな」とわが愛車に書かれたりはらからの土地に来たりて 柿沼良訓 原発の作業員らにモザイクをかけて感…

引き出しの隅にありにし耳かきを使えば古いくしゃみが出でつ 多久麻 みどりごの耳朶(みみたぶ)染むる夕日影車内にしばしの荘厳があり 三井ゆき 見るたびにビルに埋もれて通天閣頑固爺の顔をしながら 川島眸 やまとだましひとはあなかしこまほろばの大和ほ…

かざぐるまてんでに回りどのくらいたったか 少し縮んで帰る 猪幸絵 捏ねられてレーニンに化け鳥居に化け混凝土(コンクリート)の近代あはれ 花鳥佰 カワセミはいつもの枝に止まりしを指し示しても見えぬ人あり 立花鏡子 誰からも離れていたき私に鴎は何か問…

螺子巻けば柱時計は渾身の力もてこの春をゆかしむ 三島麻亜子 似顔絵が書けたらきっと知り合いの全てを笑顔にしてあげられる 上原康子 人間の不自由は傘をさしながら歩けりブロンズ裸像の前を 川井怜子 これも網 ストッキングを脱ぐときはつま先振って遠くへ…

穏やかな朝の気持のそのままに花に水やる夕べとなりぬ 榊原トシ子 良い桜今年の花は格別だ天国で見るはずだった花 吉原俊幸 ビルの間に白き太陽沈みゆくわが存在の無き日想えり 石川普子 薄氷をめがねにかえてながむれば人も車もやわらかきもの 村上喬 咳を…

◆ 詩的昇華装置としての定型 伊波虎英 斉藤斎藤さんが「歌壇」一月号で「日常的な感慨を効果的に表現 するためだけに口語も文語もつまみ食いする、いわゆる文体の『ミ ックス化』は、言葉を思想や現実から切り離し、短歌を自己表現の ツールに、短歌のための…

くぐつしとまぢよ 伊波虎英 義眼からあふれてやまぬ泥水をぬぐつてやれぬ傀儡師、神は 願はくは見よ、人形義眼(ドール・アイ) その青き瞳でわれに見えないものを 「運命に逆らはないで」さくら花こぼるるほどの小声で魔女は きだはしを上るがごとく死ぬ人…