2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

原爆忌まぢかき真昼、乙女らの日傘は黒き雨傘となる 伊波虎英 *題「色彩を詠み込む」(2011.8.25〜9.25) *歌会詠草一覧(34首)は、こちら。↓ http://tankajin.seesaa.net/article/226953332.html

化粧塩振りたる指の所在なさ友と呼ぶべき一人はあるか 森澤真理 前の歯の二本抜けたる子の笑みを思ひ浮かべてキー叩きたり 宇田川寛之 子育てがいま楽しいと志野いへばわれのこころはしばらく和ぎぬ 小池光 今日もわれの何かが一つ終わりゆくもともと何もな…

老いはいつも初体験で若作りになっていないか不安にもなる 高山雪恵 雨の日も朝は明るいベランダに立ってしばらくふやけてしまう 猪幸絵 いま、いま、いま、じしんがくるかもしれぬのになにかをしゃべるみんなはすごい 生野檀 (2012.1.19.記)

旅に出る後めたさを覆うごとおでんの匂い部屋に満ちくる 林むつ子 らんちうの餌に染ませて与へると冷蔵庫にはヤクルト十本 吉岡馨 砂あらしの中から聞こえてくる声を神託とする占いがある 天野慶 舌を突きたてて炎えぬるビル群のほてりをさませ白き月光 松野…

前に不か後ろに福かぼんやりとあなたの名にある幸を見つめる 工藤足知 鍋の柄がグラつき出して手元から何かが揺らぐ十八年目 中野順子 鴻毛のやうな情報もてあそびひらりひらりとうごく指先 伊東一如 レモン二個夜のテーブルに寄り添いて互の光浴びて輝く 北…

義援金送付しつつも被災してあの野郎くたばってろと願う 木嶋章夫 街に古り馴染みし東京タワーなれ地震(なゐ)のいたみを分けて曲がりぬ 蒔田さくら子 一葉一葉真面目に光を浴びしゆゑセシウム検出されたる茶の葉 管野友紀 着なれない作業服着て言ひ慣れな…

きみは向日葵、われは菜の花 伊波虎英 六月の雨にふくらむ人たちが浮雲となり地下街をゆく 心斎橋筋商店街を進めども進めども中国語ひとつも聞かず 六月といふに猛暑日、神もまた原発推進派か 葉風恋ふ 原子炉の火を遠まきに呼吸するきみは向日葵われは菜の…