2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「お帰りなさいませ、御主人様」 定型は涙ぐましも葦がちる浪速日本橋女中喫茶(なにはにつぽんばしメイドカフェ) はにかみし松井秀喜が梯立(はしたて)の高倉健に似るを羨しぶ カズノコを噛み砕きつつちよろづのヘロデ未生のわが子を殺む 真冬でも唄ひた…

【今月のうたう☆クラブ賞】 死のリスク避けむがためにドル建てのリスク伴ふ保険が売らる 伊波虎英

何処(いづこ)かにイナバウアーの姿して天を仰げる磔刑像あらむ (☆3/14付「さるさる日記」参照)

水溜りいつもの場所に時どきの空を沈める無意味なへこみ 伊藤壽子 纏りゆくひと針ごとにしんしんとひとりの夜にしずけさ充ちぬ 荒井孝子 恋多き母なればこその必然や庭に池掘り鯉泳がすは 黒田英雄 置き去りのゴムまりのごと母の背はふっくら丸し日溜りのな…

あのおんなの産んだ子どもも人間のかたちしていることにふるえる 津和歌子 声立てて吐き出す息の白さにも感情のある朝のみちゆき 芝典子 オリーブの葉裏のいろは五月まだ人を信じていた季(とき)のしろ 山本じゅんこ ルビふりて無理むり一首に成すごとく事…

花束から花はらはらと落とすごといろんなことをあきらめてきた 西橋美保 裸木となりたる欅を仰ぐたびしずかに胸の磁石が揺れる 守谷茂泰 とぼとぼという足音を実践す我を笑えよ鉄腕アトム 森澤真理 めずらしく雪降りてくるよたよたと伝い歩きの子の歩むごと …

鍵穴につめたき鍵をしづめたり夕闇より濃き家ぬちの闇 渡英子 冬の雷とどろくたびに騒立てるわが肉叢に山河ありけむ 倉益敬 薔薇園に冬の薔薇(さうび)の午後の影傾くものはわれを囲めり 春畑茜 確かなる影もつ昼のビル街にパンプスの音たかく響かす 金沢早…