2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

3Dテレビのなかの奥深くねむる神へと手をさしいだす 伊波虎英 *題「自由題」(2010.6.23〜8.4) *歌会詠草一覧(27首)は、こちら。↓ http://tankajin.seesaa.net/article/157162782.html

生徒らの倍生きている桜の樹クラス写真に共に写りぬ 岩下静香 ハンガーに下げるコートの皺ふかしゆき止まりなる線が交叉す 紺野裕子 いにしへの璧の翠(みどり)の禾そよぐこの麦畑が行政の淵 武下奈々子 朔太郎は商品にならずゴールデンウィークなれどさび…

必要とされずとも生きのびてやる心を病まぬ誰より太く 生野檀 花火咲き散りにしのちに隕ちてくる闇の重さに母と寄りそふ 有沢螢 いつもそこに静かに立つ木に会いに行く遠き時間に抱かれたくて 御厨節子 「心」という字を書き直し書き直し合格もらえぬまま目…

昔ひとは今よりゆつくり喋りしかゆつくり喋りはやく死にしか 吉岡馨 嘘ひとつ吐くさへ下手でいつもより声音ちひさく二度も言ひたり 洲淵智子 訃報だけはもうききたくもないなんといふ不味さだマックのハンバーガーは 黒田英雄 楤の芽の露に全方位映されて世…

ちつぽけでつまらぬものに一歩づつ近付いてゆく今日を送れり 牛尾誠三 五本指ソックスに指ひとつひとつ入れやるときにわが身はいとし 黒河内美知子 君からのメール届けばポケットの中にて跳ねる一匹の鮎 太田賢士朗 幸ひと思ふひとひの陰影を白きかぶらの曲…

どこまでも狸寝入りの空の下うまれてきては死ぬ人らゆく アルイテモアルイテモアル……イテモあるコンビニ(ここは一体どこだ) 夕ぐれを郵便ポストは傾ぎをり歩き疲れた老婦のやうに 「泣いとんか」「泣いてへんわ」といふふうに降りだす雨がわが頬に触る わ…