2013-09-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 カメラ・メランコリア 伊波虎英 鬱鬱と梅雨の晴れ間をゆく我はレンズキャップの外れぬカメラ ユニクロへステテコ買ひにゆく時も監視カメラに見張られてゐる 証明写真の機械のなかに入りたる人の脚だけ見て通り過ぐ 日常に潜む運命をやりすごす防犯カメラのダミーのやうに セデスさへ砕きて呑める我なれば胃カメラなんぞ絶対呑まぬ 一匹の飼ひ猫だけを撮るカメラ果ては一基の墓となるべし 黒髪に心ときめくゆゑなるかボディーの黒きカメラに惹かる 靴先にカメラを仕込む中年の男の性(さが)をニュースは伝ふ