金貸しが配るうちわを受け取って京の空気をかきまぜている


キトラ古墳の壁より白虎抜け出でて吼ゆるがごとき遠雷をきく


外は雨、三月書房に青空の欠片のような「かばん」の表紙


コンビニのATMに空蝉は置かれ(誰かの檸檬爆弾)


塩揉みをして十分後ゴーヤには苦味のなかの苦味がのこる


得点圏打率が高い男だと馬鹿にしたのに喜んでいる  伊波虎英