(3/13記)

ひさびさに響もすをとこの寝の息を聞くたのしさや歌集をひらく
桃色の付箋ひと束吸ひこみて上半身のふくらむ歌集  近藤かすみ



君たちは柿高々と晩秋の空を信じていてぶら下がる  宮田猟介



腰落し練馬大根引き抜けば地球が五ミリ月へと動く  田所勉



無防備に花びらひろげしチューリップ己が羞恥と思い刈り取る  柊明日香