torae1732005-02-28




宮大工のまろき欠伸が水煙(すいえん)の上(へ)に浮かびたり薬師寺の塔


うちひさす奈良の都の大仏の鼻くそに模せし菓子玉買ひき


陳玉といふ娘居るかもはつはるの < パーラー四海楼 > に入りたり


店員の一人(いちにん)樋口一葉に肖るめり決(け)して笑まざるところ


受け皿ゆこぼれし銀の玉ひとつ陽のさす床へ届かざりけり


銀玉のしぶきを浴びて二時間が過ぐ修験者の滝行にあらねど  伊波虎英