2006-07-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 「君が代」の低く漏れくる学校ゆ母川回帰の鮭の屍臭す 糠星がふたりの顔を仄照らしイエスとユダの密談つづく わが歌に言霊ありや文字霊のありや泉鏡花(きやうくわ)の総ルビが沁む 曾祖父が神風特攻隊員でありし女中(メイド)もカフェにをるらむ 塞舌耳(セイシェル)の浜辺に握り睾丸(ぎんたま)で突つ立ちきのこ雲を見てゐる 泥河に零(こぼ)れながるる花びらに触れむと濡るる虎の鼻先 伊波虎英