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かにかくに 伊波虎英
くぐもれる遠雷(とほいかづち)に急かされてポケットティッシュを配る人見ゆ
死のきはの蘆花と蘇峰の長月をおもふ民団と総連の和解に
「セイロガン糖衣A」と「正露丸」の差異かもしれぬ詰るところは
かにかくに蟹、覚醒剤をはこび入れ自転車積みてかへる船あり
『えんぴつで愛国心』を赤ペンでなぞれ「君が代」くちずさみつつ
チッチキチー、チッチキチーとわれは鳴く九月の皇子/皇女のために
受胎告ぐる天使のごとき翼(ウィング)の改造車きて少女をさらふ
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小文・私が短歌をつくる理由
短歌の韻律が何より好きだ。日常生活詠、
自然詠、時事詠、ただごと歌、ことば遊び…
…、どんな歌であっても短歌は「詩」でなけ
ればならない。言霊そして文字霊の宿った
五句三十一音の「詩」をめざし詠っている。