2007-06-11 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 ピラミッド内四千年の臭気濃く進むことのみ目的となる 藤田初枝 堕ちてゆく恐怖を思ふ上を向き歩かうと唱ひし坂本九の 黒田英雄 のいばらの花に玉なす夕露はニッポニアニッポンの涙なるべし みの虫 仮通夜は皆無口なり携帯電話(ケータイ)がしきりに鳴りて亡き人を呼ぶ 中川厚子 ひとひねりねぢる相槌うつ女疲れごころのけふはうとまし 竹浦道子 太極拳の足が踏みつつ天津(てんしん)市魯迅公園にちりつむさくら 森脇せい子 紅梅をひととき隠す淡雪よ父につぶされし恋ひとつあり 洞口千恵