2007-07-02 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 改刻をしたる象牙に朱の肉はしみてわが名のしら紙に浮く 二ミリほどみじかくなりし印判の淡黄白色ゆびにつめたし 関西風うどんをすする姪つ子もちゆるちゆるちゆると齢(とし)経むあはれ 真菰刈るヨドバシカメラに鴃(もず)の舌さへづりやまぬ階を漂ふ 喧騒の刹那去る街、中世の写字生(しやじせい)が咳ばらひ降(ふ)りきて はつ夏の空にヴィオロン響かせてバイオガソリン霊柩車去る 鼠、牛、虎、うさぎ、龍ぬけ出でてホスピス病棟からつぽの朝 伊波虎英