2007-09-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 昏鐘鳴雨(こじみあめ)わらべのこゑで傘を打つ さよならあんころもちまたきなこ 駄菓子屋のラムネの壜のビー玉は虐待死せし子の魂(たま)ならむ 雷鳥の冬羽(ふゆは)の冷えとぬくみもつセーラー服の夏衣(なつぎぬ)の白 地下を女性専用車輌は梅雨雲となりしをみなを詰め込みてゆく みんなみのもんたを見つつ時の間を老ゆ北邙(ほくばう)の煙(けむ)となるまで 玉ねぎに隠(こも)れる鬼を身に入れむ オニオンスープの透明を愛(め)づ 山盛りの玉ねぎ小さく飴色となれるがごとき短歌(うた)を詠みたし 伊波虎英