昏鐘鳴雨(こじみあめ)わらべのこゑで傘を打つ さよならあんころもちまたきなこ


駄菓子屋のラムネの壜のビー玉は虐待死せし子の魂(たま)ならむ


雷鳥の冬羽(ふゆは)の冷えとぬくみもつセーラー服の夏衣(なつぎぬ)の白


地下を女性専用車輌は梅雨雲となりしをみなを詰め込みてゆく


みんなみのもんたを見つつ時の間を老ゆ北邙(ほくばう)の煙(けむ)となるまで


玉ねぎに隠(こも)れる鬼を身に入れむ オニオンスープの透明を愛(め)


山盛りの玉ねぎ小さく飴色となれるがごとき短歌(うた)を詠みたし  伊波虎英