書きなぐり書きなぐりても詩は白き偽装再生紙を汚すのみ


マスクして歩けばメガネ直ぐくもりメガネ外せばぼやけたる街


境内でひなたぼこする老人の指におみくじ結はへてありき


忌門(いみもん)を開けたるごとき音させて咽喉を鳴らせりしばしうがひに


崔洪万チェ・ホンマンの拳固ほどある松毬(まつかさ)を三つも拾ひ母のもどり来


ぬばたまの夜にひらけば明るみは零(こぼ)るナショナル冷蔵庫より


日めくりの暦しらじら舞ふ部屋で雪中遭難死を恋ふ乙女  伊波虎英