電波かつソーラーにして息苦しさうに張りつく壁掛時計


葦原の瑞穂の国は随神(かむながら)おやがこあやめこがおやあやむ


言霊の助くる国にきららかにダガーナイフの光は零(こぼ)


朝まだき幽(かそけ)きこゑでかなかなは邪言(よこしまごと)を浄めむと鳴く


通り魔が通り魔をうむ因陀羅網(いんだらまう) 命のひかり刃(やいば)に映ず


遠雷に青鈍(あをにび)のそら罅入りぬ(ぢきにここにも降りだすナイフ)


えり首をサンボリストの蚊に食はれ掻きむしるときまた通り魔が……  伊波虎英