2009-02-20 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 台船が冬の日差しを載せてゆく川下に棲む暗き者らよ 田宮ちづ子 いまの吾に大好きがない大好きを忘れしままにうすくほほえむ 竹市さだこ ふとみれば十三台のレジの人ことごとく簡易マスクつけゐる 野上佳図子 まじまじとパブロ・ピカソの顔見ればパブロ・ピカソの顔をしてゐる 西尾正美 名付けねば溺るるならむ星の海あふぎて古代の野に立ちたれば 服部文子 ひょるひょると巻き戻りゆく巻尺の内なる芯を見たことのなく 吉岡馨 (2009.3.9.記)