(じや)れあへる子猿のやうにもみぢばは一葉二葉と零(こぼ)れてやまず


白鳥のごとき司書ゐる図書館に冬の湖畔の冷えみなぎれり


静寂主義者(キエティスト)の祈りのごとく星彩は冬青空にきらめきてゐむ


ゲイルズバーグの春を愛す、とのみ記す賀状をだしてふッと消えたし


「memo flora」に賢治ゑがきし花園へ水遣りをするごとく歌読む


羊飼エンデュミオンの永遠の眠りをさます歌を詠みたし


ペットボトルのキャップゆるみてOLのかばんより飛び立ちし水鳥  伊波虎英