処刑場囲む群集の子孫として我らカメラ付き携帯を持つ  伊藤壽子



吊革に手首をいれる癖があり前世は奴隷と思いしラッシュ  渡口航



桜咲く堤を見つつ草楽さ、回文つぶやく草なりわれは  本田鈴雨



上映会なれば見知らぬ人たちと並び観てゐる金魚の交尾  勺禰子



ふるさとに大鍋は眠りこけてゐむ雪さらさらとふりつもる夜半  梶崎恭子