2010-06-12 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 音もなく降る春雨のやさしさに滅菌済みのガーゼをあてる 今井ゆきこ 窮屈で痛いブーツと脱げるほど緩きサンダルわれら姉妹は 有朋さやか 朝もやにまどろむ亜細亜の田園を駆け抜けにけり黒き近代 太田賢士朗 一列に西に向かへる鉄塔は帰還してゆく兵士のごとし 野上佳図子 激するまま子らを叩きて眠る夜は我が少年も並びて泣けり 工藤足知 消防車救急車そして霊柩車パトカーと来て一話終りぬ 萩島篤