どこまでも狸寝入りの空の下うまれてきては死ぬ人らゆく


アルイテモアルイテモアル……イテモあるコンビニ(ここは一体どこだ)


夕ぐれを郵便ポストは傾ぎをり歩き疲れた老婦のやうに


「泣いとんか」「泣いてへんわ」といふふうに降りだす雨がわが頬に触る


われに似た少年のゐしヴァラナシに今われに似る青年はゐむ
      (☆「彼岸まで」 http://www4.tokai.or.jp/artcircus/ziyurozeki/sikisi1/sk1-03-12.htm


おそらくはわれの踏まざるアフリカに誰か見捨ててきたやうな朝


時をりはエレベーターも休息す ともすれば自死のごとき落下も  伊波虎英