仏壇にほころび初むる芍薬の丸きつぼみの玉を惜しめり


ゴキブリの家(うち)をつくりて片隅におく真夜ふとも辺野古をおもふ


咲きのこる丸きつぼみは小さかり貌佳草(かほよぐさ)とも呼ばるる花の


代金を前払ひすれば髪の毛は十分ほどで刈られてゆけり


十三円三十銭づつ一日に伸びたる髪の今し刈らるる


マウンドに乙女が立てばつかのまをエデンの園となる甲子園


たましひが茹であがらぬやう一杯の水飲みてから風呂に入りぬ  伊波虎英