2010-12-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 熊蝉はくろがねの刃(じん)シャシャシャンと愚かしき日を切りきざみをり 熱帯夜しづのをだまきくりかへし九月になれど猛暑日七日 われよりも水分多きペットボトルはわれより多く汗をかきをり 足首にまつはる糸は赤からずアシダカグモとめぐり逢ひたり 月下(つきした)に仲秋なれば所在不明老人たちはひかりを浴びる こめかみが痛くなるほど甘たるきおはぎを彼岸の胃にをさめたり 金本知憲(かねもと)の打球にひと伸びなきさまの秋深まればいよいよさみし 伊波虎英