DIES IRAE (4) 伊波虎英
根の国を灯してゐたり今宵よむ歌集の考(ちち)のうた妣(はは)のうた
いちにいさんしいごおろくなな着膨れて着膨れできぬ死後を恐るる
暴君竜レクスのにぶき歯ぎしりの響動(とよ)む月下をおもへば哀し
ぬばたまの闇に垂れゐる黄金の蜜のねばりを神の愛(アガペー)と呼べ
文語まじりで桑田佳祐うたふときそこはかとなく香る横文字
1・17(この朝)の黒く焦がしてしまひたる食パンにあまき蜂蜜垂らす
野良猫のやうに往き交ふ人たちを陸橋から見る鴉のわれは
高らかに街にひびけるサイレンは無神論者のうたふ讃美歌