あたたかい牛乳のにおいやさしい、とだんだんわかるようなひとがいる  梶原治美



通るたび両手に抱きし大銀杏いまぞ知りたる抱かれしはわれと  岩崎堯子



去りてゆく父の姿に似ていたり毛筆で書く海という字は  有朋さやか



展望台に君と並びてかぶりつく山賊むすびと海賊むすび  田端洋子



言ってみれば悲劇のなかで喜びを見出すことはとてもやさしい  工藤足知



つらい事あるとき悲しい歌きくと立ち直れると痛感できた  上村駿介