2011-09-16 ■ アンソロジー 鑑賞・短歌人 前に不か後ろに福かぼんやりとあなたの名にある幸を見つめる 工藤足知 鍋の柄がグラつき出して手元から何かが揺らぐ十八年目 中野順子 鴻毛のやうな情報もてあそびひらりひらりとうごく指先 伊東一如 レモン二個夜のテーブルに寄り添いて互の光浴びて輝く 北山有子 世の中も空も曇れる六月に子は晴れ晴れと花嫁になる 伊東民子 西空に茜色の雲広がりてわれらは生きる蟻のごとくに 齊藤壽子 七月の海へと続く道の端の牛乳瓶にしおれたる花 太田賢士朗 (2012.1.19.記)