同窓会の終りにちかく今年亡き友へ盆踊りの輪をつくりたり  佐々木和彦



送り出す30箱に手を振りぬおそらく5箱程度が戻る  津和歌子



木犀を咲かせすぎると秋風はこれ以上ないほど透きとおる  エリ



エスカレーターふたつ乗りつぎ食物におほはれつくす地底に着きぬ  花鳥佰



壁紙の破れこちらへ出んとして息絶えた鶴の首のごと垂る  大橋麻衣子



是の世の言葉せつせと蓄へる幼なの頭にリボンを結ぶ  池田弓子



行間の書き損じまで透写(トレース)し雨ニモマケズの石碑は立てり  佐藤大



ぽっちりと白き肛門いきませて黒猫の子が毛虫威嚇す  野村千惠子


                                                            (2012.2.6.記)