2013-10-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 八月のうた 伊波虎英 ペットボトルふふむ少女は指さきに可憐な花を咲かせてゐたり 八月に生まれし母子に母だけが知る夏ありぬ二十二度(たび)の 「栄光の男」の歌詞のある箇所が心にひびき深く落ち込む 唖蝉のやうに黙してスマートフォン撫でる少女の熱き血潮よ 南無大師遍照金剛(求愛の盛んなる蝉)お経終はりぬ 小学校の同級生の名のやうにふと思ひ出す北原佐和子 防御率良くても勝ちに恵まれぬスタンリッジに心寄せたり 寝ぐるしき夜に首ふる扇風機の自己矛盾めく発熱と風