おほいなる交合  伊波虎英


恩愛は助詞の「の」にあり〈精神の病〉と宇多田ヒカル記せば


七年ののちの五輪の開催をよろこぶ人をテレビに見をり


にんげんが汚せし海と交合(まぐはひ)を遂げたる若きイルカの夢精


怒(いか)ること知らぬイルカはおほいなる交合(まぐはひ)をもて海を宥むる


ひぐらしの鳴く夕暮れの縁側がわが肉界の端(はじ)つこにあり


虫の音の異なるふたつのみ聞こゆ 冥界は斯くあれとぞ眠る


結末へただ向かはむと突き進むさんぐわつ/くぐわつの朝ドラ哀し