神を折れ  伊波虎英


百合の花おほきくひらき晩秋の部屋に香りをつよく放てり


一枚の紙より生れし鶴たちが群がり垂るる祈りの嵩に


重なれる絵馬と絵馬とにはさまれて身動きできぬ神のをるらむ


パンプキン色のドレスにあらはなる細き手足がハロウィンを告ぐ


みづからを人と信じて疑はぬ犬よ、そんなにしつぽを振るな


爪切らなあかんと思ひつつ風呂に爪やはらかくなるまで浸かる


偏頭痛ひと晩寝ても治まらぬこの頃なれば朝を恐るる


一年ぢゆう冷えた麦茶をがぶがぶと飲んで水分摂取にはげむ