2015-03-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 年末のうた 伊波虎英 冷蔵庫ひらけば明く照らされる賞味期限の日付の過去が 細胞を噓で真つ赤に光らせて理研を去りし小保方晴子 薩摩切子の赤いグラスが心臓に埋まつてゐさうな微笑みだつた 老人は明るい未来へ突つ走る高速道を逆方向に 寒天で固めるためのコーヒーに白い砂糖をたつぷり溶かす ぬばたまのコーヒーゼリーは漆黒にあまき砂糖の白をかくせり お地蔵さんの頭をなでるやうに拭く蛍光灯のかさの丸みを あたらしき年は暮れまたパーラーが新装開店するごとく明く