2015-04-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 如月の空 伊波虎英 やり場なき怒りのごとし靴ひもはほどけて朝の道を撲ちたり 道ばたでスニーカーのひも結ぶ背にシリアにつづく如月の空 惑はずに来るあすあさつてしあさつて人は惑ひて靴底減らす 久々に板チョコ食べむと手にとれば余りの薄さに哀しくなりぬ ホームへとつづく短き階段に老母のやうにスロープは添ふ まれまれに天気予報にあらはるる雪だるま愛(は)しまれまれなれば 握つては開く両手の冬なればじつくり浸かる湯船ににぎる また朝は来ると信じていざ眠らむ眼鏡のレンズきれいに拭きて