2016-01-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 猫と回覧板 伊波虎英 野良猫の変死を告げて霜月の家をめぐれり回覧板は ふたたびをふたつに閉づる回覧板死後硬直の冷たさをもつ 頭(つむり)なき鴉ただよふ池の面(も)の浮寝の鳥のごとき日常 野の鳥に吹矢を射りて満たさるる心の洞(うろ)の嵩をおもひぬ 自殺未遂を報じられたる猫顔の女優に南瓜色のゆふべを 飼ふならば犬か猫かと長き夜にひとりつれづれおもふは楽し もし猫を飼ふなら蛭子能収のやうなる猫をわれは飼ひたし ドローンが飛ぶ空の下、本心は神さまだけに言ふことにする