2016-04-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 塩ひとつまみ 伊波虎英 ささやかな楽しみなれり夕刊に宇江佐真理の遺作を読むは 海原に塩ひとつまみ振るごとくわが詠むうたは雪より淡し 八日遅くわれより生れし清原和博(きよはら)のスターとなりて覚醒剤(シャブ)で捕まる 清原にありてわれには無き刺青、痴呆の母と息子、元妻 「喜」と「楽」の感情のなき猿なれば笑はざるまま終へる一生 にんげんは所詮にんげん狂ひても猿にはなれず独り笑ひす 喜びも楽しみもなき日々なれど人間なれば笑つて過ごさむ