まなざしの先に  伊波虎英


骨董を集める金のなきわれは結社誌をよみ歌をあつめる


結社誌を繰りていくつか蛍火のごとく灯れる歌放ちやる


「短歌人」10月号に〈ポケモンGO〉いくつ潜みて人を待ちゐむ


一流の打者のこなしに皆がみな絶好球の初球見逃がす


なぜ初球の絶好球を振らぬかと内気なわれが苛立ちてをり


さはあれど年の離れた弟をみるまなざしの先に鳥谷敬(とりたに)


ひえびえと夏の体温うばひつつ光る刃先は弱者へと向く