2016-11-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 愛のひとしづく鉛筆 伊波虎英 愛のひとしづく鉛筆ちびたまま四十年ほどわが家にあり サキちやんは言葉持たねどサキちやんはいつもほほ笑みサキちやんだつた 「みづいろの雨」とか「虹とスニーカーの頃」を聴きゐし少年はるか バファローズも弱し タイガースとブレーブスの日本シリーズ夢のまた夢 マジック定規なぞりて描くカウンタックいびつなれどもその面魂(つらだましひ) 四十回近くつづける24時間テレビを見なくなりしはいつか 呪文めく言葉に多くかこまれし少年期のわが無知をいとしむ