(そら)に三(み)つ廊下 イラクへゆく人の口髭は雪の湿りを帯びて


銀行のATMは悪人の見分けもつかず触られている


かさかさと音させているコンビニの袋に雨は沁みてはゆかず


銀鱗のあふれてやまぬ受話器からあなたの声をさがす冬の夜<咳をしても一人> 微熱のあることを語らず仕切るネット歌会


エヴィアンで潤しし後の舌先でなめる切手は藻葉の味がす