ぬるぬるの涎光れりルールなき喧嘩に眼(まなこ)赤き野良犬


電球の切れし洗面台で歯をみがくがごとき寂しさは来ぬ


買ふつもりなけれど未だこの冬の夜に焼き芋を売る声きかず


苛らぎを楽にする意の「イララック小林製薬の鎮静剤なり


欧米か、と見まがふ宮処(みやこ)東京をタカアンドトシトシトと濡らす雨 


美味求め儲けにかまけざる職人ならねば古き牛乳使ふ


東京のたこ焼き不味しおそらくは南京、北京の章魚小丸子(タコボール)よりも  伊波虎英